現職研2023夏「授業をグラレコしてみる」を終えて

 8月26日土曜日に、無事に現職研セミナーを終えることができました。ご参会の皆様とともに、学びの多いセミナーとなりました。セミナーの様子を簡単にレポートしたいと思います。

ワークショップ「チャレンジ・グラレコ」

午前中は黒木さん、畑田さんに担当していただき、ゲームやグラレコ(エモーショナルキャラクター)に取り組みました。この日初めて会う方が多かったと思いますが、これらの活動を通してご参会の皆様の距離がぐっと近くなったように感じました。

グラレコはただの記録ではなく、感情やその場の空気なども可視化し得るという言葉はとても勉強になりました。グラレコそのものが生命感をもつことで、話し合いを活性化させることがあると思いました。線一本でもいろいろな線があり、それを書き足していくことで全体ができあがっていく過程を体験することができたのではないかと感じています。






公開授業「詩の世界を読み広げよう」

午前のワークショップを受けて、午後は子供たちと「海の駅」を読みました。谷川俊太郎の「詩は意味とともに存在を描いている」という言葉をヒントにして、詩がもつ二義性に迫ることをねらいとしました。

夏休み明け、また参観者も多かったことから子供たちの緊張度は高かったですが、よく頑張っていたと思います。子供たちにとって、この詩に出てくる「ぼく」の心情はかなり共感できるものだったようで、そこにこだわっていたなと、振り返って思っています。意味だけではなく存在を感じられるようにしたかったので、言葉の意味が薄まっていくことを目指しましたが、やはりそれは容易ではありませんでした。それでもそこに挑んだことは価値があったと思っています。ある子は最後の振り返りに次のように書いています。

「私は、はじめ詩を読んだとき、「駅」はかんがえていなくて、今日友達の意見を聞いたら、海の中の岩が駅なのではないか、と言っていて、ぼくが海の中までいって、機関車がまっている感じがしました。海の中に駅があるイメージはなかったけど「海の駅」と考えてみると、たしかに海の中に駅があるイメージになった」

この子の「感じがした」というところに、存在として詩に触れている様子をみることができるのではないかと思っています。はっきりとは言えないけれど、そんな感じがするという実感を、特に詩の授業では大切にしてよいのではないでしょうか。それが詩の二義性を捉えることにつながるのではないかと考えています。

この授業では、黒木さんのグラレコ、また畑田さんの朗読と、ぜいたくな方法が取り入れられていました。やってみて、本当にグラレコや朗読を詰め込むことがよいかは、これから考えていかなければいけないと思いますが、そうした足掛かりをつくることができたということは、間違いなく今回の実践の価値だったと思います。


講演「教室で文学を読むことの価値」

授業の協議後には大澤先生にご講演いただきました。「詩は、イメージ世界を言葉によって凝縮したものであり、そこから物語を生むことが可能」という言葉は、詩の学習をする際に思い出したい言葉だと感じました。詩は余白が多いので子供は様々なことを語りますが、実はそれは凝縮されたイメージ世界に触発された結果なのだと思えば、子供たちの語りの中に、詩の世界をみることができるように思いました。大澤先生は「こども想像(創造)語」というユニークな言葉を使っていましたが、そうした子供たちの言葉を、普段使う言葉と同一視せずに、受け止めていくことが学びを深めていくのだと思いました。


次回のセミナーは12月23日です。本学の渡辺貴裕先生をお招きして「どうする?演劇的手法」をテーマにセミナーを開催したいと思います。詳細が決まりましたら当ブログでお知らせいたします。ぜひ奮ってご参加ください!




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