教育実習を終えて──伝えることは意外と少ない?
先週、本校の6週間に渡る教育実習が終わりました。私のクラスでは、前期6名、後期6名の合計12名の実習生が3週間ずつ受け持ちました。
教員ならば誰もが通る道ですが、教育実習を機に教員という仕事に就くことを現実的に考え始めた人も多くいらっしゃるのではないでしょうか。今回に実習でも、そのような学生にたくさん出会えたことは、この教職希望者減少の時代にあって、ありがたいことだと感じています。
6週間も実習生の授業を見てコメントすることを続けていると、だんだん同じようなことを繰り返し話していることに気付きます。つまり、授業をする上で私が気にしていることはそんなに多くはないのかな、ということです。実習期間中は、実習生の授業が多くなりますが、途中で私が授業に入ることもあります。そんな時は、自分が実習生に話していることをなるべく具体的に見せられるように努力します(これが難しい…授業に対して色々言うのは、結局言うは易し…なのだと思います)。教育実習は、もちろん学生のためですが、意外と指導する側にとっても基礎的な部分を確認する機会になっていると感じます。
今回は私が実習生に繰り返し言っていたことを、いくつか紹介します。
①逆から考える
授業の最後に、子供が何ができるようなっていればよいのか、具体的な活動で示す、と言う意味です。
実習生は授業を前から順に考えていきがちで、導入は盛り上がるけれども、その後が続かない…という授業が多く見られます。そういう場合に、「逆から考えてみよう」と伝えています。ねらいを達成している姿(そもそもそのねらいでいいのかの確認も大切です)を、具体的な活動レベルで考え、そこに至るまでの学習活動を考えさせます。45分という限られた時間でできる活動は、せいぜい3〜4つです。この組み合わせで、ゴールにたどり着けるのかを考えさせて行きます。
②活動の〇〇
授業は学習活動の組み合わせで展開されますので、この「活動」についての言及も多かったです。例えば…
「活動の渡し方」:実習生は指示すれば伝わると思っていることが多いですが、言葉の指示だけでは子供はなかなか動きません。どのような渡し方をすれば良いのか、考えていく必要があります。よく見られるのは、例を示すことでしょうか。「こんなふうにやるんだよ」と教師が実際に示してから活動を渡すと伝わりやすいです。それ以外にも、途中まで子供と一緒にやってみる、という方法もあります。子供の様子を見ながら、ここまで来れば渡しても大丈夫だな、というところを見極めながら渡せるとスムーズです。
「活動の順序」:実習生は、一つの授業のためにさまざまな準備を行います。ただ、それを出す順番が惜しいこともよく見られることです。「それ、最初に聞いていればもっと楽しく活動できたのに」ということがないよう、順序について考えることも大切だなと感じます。
「活動の組み合わせ」:万能の学習活動はありません。前後のつながりを考えて、最適な組み合わせを考えることが大切です。よく、最初は個人で考えて、その後グループで、最後に全体で、と活動を組み合わせていく授業を見ますが、常にこれが最適とは限らないと思います。場合によっては、グループでの活動は不要かもしれません。また、これは順序の話になりますが、全体で話し合って、個人で考える、という展開もあり得ます。ゴールの活動に向けて、どのような組み合わせが適切なのか、考えていく必要があります。
…他にもありますが、今日はこの辺りで。書いてみて改めて、自分はそこまで考えているのかと思います。実習は終わりましたが、日々自分の授業を見直していきたいです。
(小野田雄介)
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