【現職研2023夏特集③】絵が描けないとグラレコできない?
さて、授業にグラレコを導入するにあたって、一番最初に頭によぎる疑念は「絵が描けないから無理か…」ということではないでしょうか。私も絵は苦手です。 でも時代はありがたい時代に突入しており、グラレコの書籍を手に取ると、どの書も決して絵が描けない人を門前払いすることはありません(そりゃそうだ…)。その一番の理由は時間です。グラレコは限られた時間で話し合いの可視化を試みるので、そもそもリアルな絵は求められていません。スピーディで、およその雰囲気がわかることが重要なのです。 スピーディに、およその雰囲気を伝えるために、多くの書で示されているのが、簡略化されたアイコンです。絵文字と言ってもよいかもしれません。お手本があるので、これならば絵が苦手な人でも簡単に真似ることができます。スマホで「なつ」と打つと、様々な絵文字が出てくるように、授業でよく出てくる言葉を中心にアイコン化しておくと、板書で使えるグラフィックが増えていきます。これだけでも板書の雰囲気はぐっと変わってきます。 でも私がグラレコの可能性を感じたのは、今回お呼びしている黒木歩さんのワークショップに参加したときでした。(黒木さんについてはこちらの「視覚実験教室」のサイトをご覧ください!→ https://ayumi-artlabo.net/ ) 本学の渡辺貴裕先生が、昨年12月に教職大学院内の勉強会として企画してくださった「グラレコワークショップ」。その講師に来ていただいのた黒木さんでした。グラレコに関心をもっていた私にとっては、願ってもない企画… そのワークショップの詳細を語ることは、今回のセミナーのネタバレになってしまうかもしれないので控えますが、その日の私の一番の学びは、グラレコはインプロ(即興劇)なんだ、ということです。これは実は板書にも言えることなのだと思います。 完了した話し合いの内容を可視化するのであれば、結論がわかっていますから、構成もとりやすいでしょう。でも板書が対象にしているのは現在進行中の話し合いです。こちらのプランなどモノともしない子供たちの意見に「それ、どこに書いたらいいの?」と悩んだ経験は皆様おもちなのではないでしょうか。でも悩んでも時間も子供も止まってくれません。今描いた先を描き続けるしかないのです。インプロは、そのような状況で生まれるものです。ここでどんな風に描いて子供たちに返すのか―